お客様のアイディアから日本初のシリコーンゴムの注ぎ口とメッシュフィルターが一体化した製品が誕生しました。この一体化技術は、従来のフィルター付き注ぎ口の課題を解決し、フィルターが外れてしまうことがなくなり、安心してご使用いただけます。今回はお客様のアイディアから製品化したシリコーンゴムの注ぎ口とメッシュフィルターが一体化した製品について紹介いたします。

開発時の課題と苦労

フィルター孔の形状と目詰まりの防止

開発の初期段階で直面した最大の課題の一つは、フィルター孔の形状でした。特に、お茶っ葉を入れたときに目詰まりが起こらず、スムーズにお茶を注げるようにすることが重要でした。フィルターの目詰まりは使用感を損なうだけでなく、ユーザーの不満を招く可能性があるため、避けなければならない問題でした。設計チームは、数多くの試作とテストを繰り返し、最適な孔の形状と配置を見つけ出すために多大な時間と労力を費やしました。

穴の径を小さくする難しさ

次に直面した課題は、フィルターの穴の径を小さくすることでした。小さな穴は、お茶っ葉が通過しないようにしながらも、液体がスムーズに流れることを保証する必要があります。しかし、シリコーンゴムの特性上、微細な穴を正確に成形するのは非常に困難でした。この課題を克服するために、設計チームは特殊な成形技術を導入し、さらに複数の成形方法を検討しました。最終的には、微細な穴を高精度で成形する技術を確立し、目詰まりのないスムーズな流れを実現しました。

注ぎ口とメッシュフィルター部の一体成形

注ぎ口とメッシュフィルターを一体化すること自体も、成形工程の難易度を大幅に高める要因でした。通常、異なる機能を持つ部品を一体で成形するのは技術的に非常に難しく、高度な専門知識と技術が求められます。成形工程では、材料の流れや冷却速度、収縮率など、多くの要素を細かく調整する必要がありました。特に、注ぎ口の部分とメッシュフィルターの部分が一体化する接合部は、強度と耐久性を確保しつつ、柔軟性も持たせる必要がありました。この課題を乗り越えるために、私たちの技術チームは多くの試行錯誤を重ね、最適な成形条件を見つけ出しました。

透明色のシリコーンゴムの選択と型離れの改善

さらに、製品の外観にもこだわり、一般的なシリコーンゴムの白濁色ではなく、透明色を採用しました。しかし、透明色のシリコーンゴムを使用することで、型からの離れが悪くなるという新たな課題が発生しました。透明シリコーンゴムは美しい外観を提供する反面、成形工程での取り扱いが難しく、製品の品質にも影響を及ぼす可能性がありました。技術チームはこの問題に対処するため、離型剤の種類や使用方法、成形温度や圧力の調整など、多くの方法を試みました。その結果、最適な成形条件を見つけ出し、透明で美しい仕上がりと高い品質を両立させることができました。

一体化技術のメリット

お手入れの簡便さ

一体化技術を採用することで、ユーザーにとっての最大のメリットの一つは、お手入れが非常に簡単になったことです。従来のフィルター付き注ぎ口では、フィルターが外れてしまうことや、細かい部分に汚れが溜まりやすいという問題がありました。しかし、一体化された設計により、フィルター部分が外れることなく、一体成形のため隙間も少なく、洗浄が容易になりました。ユーザーは手軽に洗うことができ、衛生的な状態を保つことができます。

フィルターの耐久性向上

また、一体化によりフィルターの耐久性も向上しました。フィルターが注ぎ口にしっかりと固定されているため、使用中に外れる心配がなく、長期間にわたり安定した性能を発揮します。これにより、ユーザーは安心して製品を使用することができ、メンテナンスの手間も大幅に軽減されます。

高いデザイン性と機能性の両立

透明シリコーンゴムを採用したことで、製品のデザイン性も大幅に向上しました。透明な素材は見た目に美しく、他のキッチン用品とも調和しやすいです。さらに、シリコーンゴムの柔軟性と耐久性を活かし、高機能なフィルターとしての役割も果たします。デザインと機能性の両立を実現することで、ユーザーにとって魅力的な製品となりました。

まとめ

シリコーンゴムの注ぎ口とメッシュフィルターが一体化した製品は、顧客のアイデアを基に開発され、多くの技術的な課題を克服して誕生しました。フィルター孔の形状や穴の径の調整、注ぎ口とフィルターの一体成形、透明シリコーンゴムの採用といった困難を乗り越えた結果、使いやすく、お手入れが簡単で、デザイン性も高い製品が完成しました。

弊社ではお客様のアイディアを形にするお手伝いも行なっております。
シリコーン製品に関するご相談やお悩みがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。