建築・自動車・電子機器など、私たちの生活を支えるあらゆる現場で欠かせない「シーリング材」。
中でもシリコーン系シーリング材は、その高い耐久性と環境適応力から、長年にわたり信頼されてきました。
しかし近年では、素材改良や添加技術の進歩により、従来の用途を超えた性能が求められ、シリコーンシーリング材も大きく進化を遂げています。
以下では、主要な性能面からその特長と進化のポイントを整理していきます。
1.耐候性と耐久性
1-1.従来の課題
一般的な有機系シーリング材(アクリル・ウレタンなど)は、紫外線や雨風、温度変化によって経年劣化しやすく、ひび割れや硬化による防水性能の低下が問題となっていました。
特に屋外使用では、数年単位での打ち替えが必要になるケースも多く、メンテナンスコストの増加が課題でした。
1-2.シリコーンの進化
シリコーンシーリング材は、無機的なSi–O–Si結合を主骨格とするため、紫外線やオゾン、温度変化に極めて強い特性を持ちます。
最新の改良型では、従来弱点とされていた「ブリード現象(油分のにじみ)」を抑制しつつ、10年以上の耐候性を実現する製品も登場。
外壁やガラスカーテンウォールなど、長期信頼性が求められる用途で優れた実績を示しています。
2.接着性と柔軟性
2-1. 他素材との比較
ウレタンやアクリル系シーリング材は、初期接着力に優れますが、時間経過や熱変化により収縮・剥離が起こることがあります。
また、硬化後の弾性が低下しやすく振動や動きのある部位ではクラックの原因となることもあります。
2-2.シリコーンの特長
シリコーンは低温下でも柔軟性を保ち、金属・ガラス・セラミックス・一部の樹脂など、さまざまな素材に安定して接着します。
特に「モジュラス可変型」のシリコーンでは、建物の揺れや温度膨張にも追従できる弾性を発揮。
高層ビルの外装や太陽光パネルの封止など、精密かつ長期的な気密保持が求められる場面で活躍しています。
3.耐熱性・耐薬品性
3-1. 一般シーリング材の限界
有機系シーリング材は、100℃を超える高温環境では軟化・変色しやすく、また酸・アルカリ・溶剤に弱いという課題がありました。
これにより、工場やプラントなどの特殊環境では使用が制限されることもありました。
3-2. シリコーンの優位性
シリコーンシーリング材は、–50℃〜200℃といった広範な温度域で性能を維持します。
また、酸・アルカリ・有機溶剤に対しても優れた耐薬品性を持ち、化学プラント、厨房機器、医療装置などでも長期的に安定使用が可能です。
これにより、従来の「外装材」から「産業用密封材」へと、用途領域を拡大しています。
4.環境適応と持続可能性
4-1. 環境配慮の課題
従来のシーリング材では、有機溶剤の揮発によるVOC(揮発性有機化合物)排出が問題視されていました。
建築物の室内空気質や環境負荷低減の観点からも、より安全で環境に優しい素材への転換が進んでいます。
4-2. シリコーンの新展開
現在では、低VOCタイプや中性硬化型のシリコーンシーリング材が主流となり、施工現場での安全性と環境性能が大幅に向上。
また、リサイクル性の高い基材との組み合わせによる「環境対応型シーリングシステム」も注目を集めています。
素材の進化が、持続可能な建築・製造の実現に貢献しています。
まとめ
シリコーンシーリング材は、耐候性・耐久性・柔軟性・耐薬品性といったあらゆる面で進化を遂げ、従来のシーリング材では対応が難しかった過酷環境にも対応可能となりました。
これにより、外装防水から産業設備、医療・電子分野まで、用途の幅が大きく広がっています。
今後も、環境対応や機能性向上の研究が進むことで、シリコーンは“次世代の高機能シール材”として、さらに重要な役割を担っていくでしょう。
シリコーン製品の詳細や購入については、シリコーンテクノにお気軽にお問い合わせください。