シリコンとシリコーンのちがいとは?半導体製造に欠かせないシリコンの存在

公開日 2023.03.13
<strong>シリコンとシリコーンのちがいとは?半導体製造に欠かせないシリコンの存在</strong>

シリコン(Silicon)とシリコーン(Silicone)はスペルは似ているものの、全くの別物です。混同して使われたり表示されていますが、異なる物質です。それではシリコンとシリコーンの違いは具体的に何があるのでしょうか、見ていきましょう。

シリコンとは

シリコンは元素名であり、ケイ素の英語名(Silicon)に由来します。ケイ素は酸素、窒素、炭素、などと同様に物質を構成する元素のひとつで、私たちの住んでいる地球の主要な構成元素です。

シリコンは元素名であると同時に「単体」物質としての名前もあります。金属光沢を呈し、半導体としての性質を持っています。このため、「金属ケイ素」と呼ばれることもあります。

単体のシリコンは、融点約1400度の金属光沢を持っており、「金属ケイ素」と呼ばれることがあります。高温下で生成されるため、高い結晶性と純度を持ち、電気的、光学的、熱的性質に優れています。このため、アルミニウム、銅、マグネシウムなどの金属と混合される事が多く、強度や耐熱性、耐摩耗性が向上します。こうしてできた金属シリコンは、自動車部品、航空機部品、スポーツ用品、工具などの製造に使用されます。

金属シリコンは、純粋なシリコンよりも強度はもちろんのこと、耐熱性や耐摩耗性に優れています。ただし、製造コストが高いため、一般的な金属合金よりも高価です。

(金属ケイ素の鉱石)


シリコンとシリコーンのちがいとは

つまりシリコンとはケイ素であり、「単体」物質としての意味があります。

一方でシリコーンはケイ素を構成元素の一つとして含有する有機ケイ素化合物です。別名「ケイ素樹脂」、「シリコーン樹脂」と呼ばれる合成樹脂で、天然には存在しません。

シリコンとシリコーンは同じケイ素から生まれた物質でありますが、シリコンは金属、シリコーンは化合物なのです。

(シリコーンとシリコン 物質のちがい)


半導体・太陽電池に使用されるシリコン素材

上記でも紹介しましたが、単体のシリコンは高温下で生成される金属光沢を持っています。ケイ石を還元して、「金属ケイ素」と呼ばれる金属シリコンを製造します。

金属シリコンは、電気絶縁性、導電性、耐熱性、腐食や酸化に対する抵抗力などの優れた特性を持ち、代表的な用途には半導体素材や太陽電池があります。

電気を通す物体を「導体」、まったく通さない物体を「絶縁体」といいます。その2つの中間の性質をもつものが「半導体」です。半導体は一定の条件のときのみに電気を通すという特性を持ち、電子部品によく使用されます。

半導体に使われるシリコンは高純度な「単結晶構造」が求められます。半導体は電気を通す性質が半端なため、ごく少量でも元の元素が混入すると、電気を流す性質が変わってしまいます。このため不純物が多く含まれる原料のケイ石から、シリコン以外の元素を徹底的に取り除く必要があります。

単結晶構造は名前の通り、シリコンの塊からつくられる結晶構造のことを指します。純度の高さと純化工程の複雑さから、販売価格は多結晶のものに比べるとやや高価です。



シリコンとシリコーンのちがいはわかっていただけたでしょうか。

シリコンはケイ素という物質の名前であり、シリコーンはケイ素から生み出された人工の加工物です。

シリコンは金属光沢を持ち、「金属ケイ素」と呼ばれています。ケイ素は地殻中に大量に存在していることから、シリコンが半導体の材料として広く利用されています。

電気絶縁性や伝導性といった特性を活かして、自動車部品、航空機部品、スポーツ用品、工具などの製造に使用されてます。

シリコーンテクノはシリコーンゴムをコア事業とし、各種精密部品を製造・販売しています。長年培ってきた経験と技術を基に高精度の精密シリコーンゴムをお届けします。シリコーンに関することならなんでも、お気軽にご相談ください。


<参考文献>
『シリコーンとシリコーンの科学』B&Tブックス日刊工業新聞社
『シリコーン大全』日刊工業新聞社
『トコトンやさしい!シリコーンの本』日刊工業新聞社

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