シリコーンの驚くべき性質 ①耐熱性

公開日 2023.04.13
シリコーンの驚くべき性質 ①耐熱性

シリコーンは他の樹脂と比べて、耐熱性能に非常に優れています。150度の高温下におかれてもその特性に変化はありません。製品によっては、200℃でも耐えるものもあります。そのため工業用の耐熱性オイルとして使われてきましたが、最近ではキッチン用として使われるようになりました。そんな耐熱性に優れたシリコーンのパワーを紹介します。

熱に強い理由は、シロキサン結合のパワーにあり

シリコーンを構成するケイ素と酸素はお互いに強く引き合う性質があり、その結合は炭素と炭素の結合の強さに比べ約25〜60%ほど強く、高温の環境下でもその結合が壊れることはありません。

一般的な有機化合物は炭素と水素の共有結合によって構成されていますが、これらの結合は熱に対して弱いため、高温環境下で劣化することがあります。一方、シリコーンは、シロキサン結合によって構成されているため、熱に対する耐性が非常に高く、高温環境下でも強度を維持することができます。

温度変化に強いシリコーンオイル

シリコーンオイルは、ケイ素と酸素から作られたシロキサン結合という骨格から作られた有機化合物である一方、一般の鉱油や合成油は、炭素、水素、酸素などから構成された複雑な高分子液体です。高分子液体は粘度変化が大きく、高温になると急激に粘度が低下します。しかし、シリコーンオイルは分子間の相互作用が小さいために、粘度変化が少ないです。耐熱性、耐寒性、耐候性に優れ、温度による粘度変化が少ないため、物理的安定性に優れた材料です。

この特性を活かして使用される用途が、ダンパーや動力伝達液です。ダンバーとは急な動きを抑制するための装置や部品で、自動車のショックアブソーバーや便座、ドアの開閉部などに使われています。タイヤやブレーキパッドなどの部品にコーティングすることで、耐久性を高める効果もあります。

調理器具として活躍するシリコーンゴム

シリコーンゴムは耐熱性の特性を生かし、様々な分野で使用されています。調理器具に始まり、スポーツウェア、医療用インプラント、自動車用パーツ、エレクトロニクス製品などあらゆる分野、様々な用途があります。

中でも私たちの生活に馴染みが深いのが、調理器具としてのシリコーンゴムです。
電子レンジでも使用できて、そのまま食卓でも使用できるシリコーン鍋や、オープンで使用でき丸洗い・再利用が可能なマフィンカップやシリコン型は、沸騰したお湯が入った鍋を持っても大丈夫なシリコーンミトンなど、様々な調理器具に使われています。

耐熱性と断熱性に加えて、食品衛生法にも適合しているため食品を安全に使用することができます。健康や環境へのリスクが少ないシリコーンは、キッチンにおいて最適な性能を発揮します。

まとめ

シリコーンには様々な特筆すべき性質がありますが、中でも他の樹脂と比べて耐熱性能に非常に優れています。シリコーンゴムはたとえ耐熱の上限を超えて変質したとしても人体に無害な物質(二酸化ケイ素)となるため、高い安全性を保つことができます。

シリコーンはこうした基本構造の特性を活かして、姿も特徴も多彩に変えることができるため、あらゆる産業分野で幅広く活躍しています。

 シリコーンテクノはシリコーンゴムをコア事業とし、各種精密部品を製造・販売しています。耐熱性の特性を活かした、自動車用の重要精密部品の製造実績もございます。

長年培ってきた経験と技術を基に高精度の精密シリコーンゴムをお届けします。シリコーンに関することならなんでも、お気軽にご相談ください。


<参考文献>
『シリコーンとシリコーンの科学』B&Tブックス日刊工業新聞社
『シリコーン大全』日刊工業新聞社

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