シリコーンの驚くべき性質②耐候性

公開日 2023.04.24
シリコーンの驚くべき性質②耐候性

シリコーンは耐候性に非常に優れています。前回、シリコーンの耐熱性について紹介しましたが、耐寒性にも優れています。一般の有機ゴムは機能が低下する温度が-20℃〜-40℃であるのに対し、一般シリコーンゴムの機能低下温度は-60℃と言われています。中には−100℃以下の極低温にも耐える製品もあります。熱さにも寒さにも強い、温度に左右されることのないシリコーンはまさに魔法のような素材です。

劣化・老化を遅くさせる

シリコーンゴムは耐候性に優れているため、自然劣化はほとんどしません。長時間、紫外線や風雨にさらされても物質の性質はほとんど変化しません。

一般の有機系ゴムはコロナ放電(高電圧を運ぶ導体を取り巻く空気などの流体のイオン化によって引き起こされる放電)で発生するオゾンによって急速に劣化しますが、シリコーンゴムはほとんど影響を受けません。

このことからシリコーンゴムは熱や寒さによる劣化に強い素材であり、屋外で使用される製品の材質として適していることがわかります。

低温でも固まらないシリコーン

シリコーンは通常、融点がマイナス45℃。しかし分子鎖の周りに大きな置換基を付け結晶性を妨げることにより、マイナス123℃のガラス転位温度まで固化しなくなります。

またシリコーンは分子が自由に動き、まわりをメチル基で覆われているため、他の分子に影響されず動きまわることができるため固まらないのです。液状シリコーンからゴムのように化学的結合で形状が変化しても、この低温特性はほとんど影響を受けません。

※メチル基・・・シリコーン生成のための基本構造。有機化合物の官能基の1つであり、表面張力が低く、浸透しやすく、撥水性に優れている。有機化合物に溶けることがほとんどないことから、離型性を発揮する。

低温でも固まらない、沸点が高いという両方の性質を兼ね備えたシリコーンは、広い温度領域で活躍します。薬品や化合物を合成する際の冷媒や熱媒として使用されています。

耐候性を活かした用途

ガスケット、パッキン
ガスケットとパケットはシールと呼ばれる、「流体の漏れまたは外部からの異物の侵入を防止するために用いる装置」として配管と配管の接続部で、密封装置としての役割を果たしています。簡単に説明するとガスケットは固定用、パッキンは運動用です。

医療機器や航空・宇宙関係の製品など幅広い分野で、気密性や気密性を保つために活用されています。

ガスケット・・・ガスケットとは、固定用のシール材で、パイプとパイプの継ぎ手などに使われるもののことを指します。一般的に用いられるゴム系ガスケットの中でも耐熱性に優れています。

パッキン・・・パッキンとは、気密性や液密性を保たせるために使用される運動用のシール材で、配管の駆動部分・運動部分に使われることのことを指します。酸素、オゾン、紫外線に対する安定性に優れ、長時間紫外線や風雨にさらされても特性はほとんど変化しません。

まとめ

熱さにも寒さに強く、紫外線や雨風にさらされても影響を受けにくいシリコーンは、耐候性に極めて優れた素材です。劣化・老化にも強いため、幅広い分野の製品で活躍しています。

シリコーンの開発製造ならシリコーンテクノ

耐寒・耐熱性、防水性、耐候性に加え、精密加工が可能な特性を活かして電子機器や自動車用部品に使われています。自動車に求められる信頼性、耐久性はじつに高いものです。冬はマイナス40度の極寒から、夏には50度という灼熱の気候での使用まで想定しています。シリコーンゴムは耐寒・耐熱性、耐候性を備え、長期間にわたって性能を維持し続けることから、弾力が求められる場面で有機系ゴムに代わる存在となっています。

当社では長年培ってきた経験と技術を基に高精度の精密シリコーンゴムをお届けします。
シリコーンに関することならなんでも、お気軽にご相談ください!


参考、引用文献:
『シリコーンとシリコーンの科学』B&Tブックス日刊工業新聞社
『シリコーン大全』日刊工業新聞社
『トコトンやさしい!シリコーンの本』日刊工業新聞社

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