シリコーンの驚くべき性質③疎水・撥水

公開日 2023.05.01
シリコーンの驚くべき性質③疎水・撥水

シリコーンは疎水性・撥水性に非常に優れています。「疎水性」とは水に対する親和性が低いため、水に溶解しにくい、水と混ざりにくい性質のことを言います。一方で「撥水性」とは水を弾く性質のことを言います。この疎水性・撥水性の特長を活かし、カーコーティング剤として活用されています。

疎水性と撥水性の違い

疏水と撥水は見た目として「水をはじく現象」としては同じように捉えられますが、その性質によって得られる効果に違いがあります。

疎水性・・・接触角度(水玉とボディ面との角度)は60度〜89度で、水が膜状にまとまって流れ落ちます。水を重力だけで落下させることができます。セルフクリーニング効果にも優れるので、洗車頻度を少なくしたい人におすすめです。こちらはフロント部分よりもボディコーティングに向いています。雨とともに汚れが落ちるため汚れが目立ちにくくなります。

撥水性・・・接触角度(水玉とボディ面との角度)は90度以上で、水を強力に弾き、球状のまま表面をころがり落ちていきます。フロントガラスのような風で水を吹き飛ばせる箇所におすすめです。疎水性に比べると光沢にも優れる性質をもっています。

疎水性・撥水性を活かした用途

新車の輝きを長く保つためには、カーコーディングやカーワックスといったシリコーンオイルを用いて手入れをすることが必要不可欠です。自動車には、アスファルトや土、泥、埃、排気ガスなど汚染物質が付着し、雨や日光にもさらされます。これらはボディの美観を損なうばかりでなく、水洗いで落ちにくいものをそのまま放っておくと塗膜の劣化が進みツヤがなくなってしまいます。

コーディング

コーティングは、ボディの塗装膜表面に硬く薄い保護層を作るものを指します。一般的には、ポリマーコーティング(樹脂コーティング)、ガラス系コーティング(ポリマー×ガラス繊維)、ガラスコーティング(硬化型ガラス繊維)、セラミックコーティング(硬化型ガラス繊維)が主流となっています。ワックスと比べると保護層が長く持続するものも多いほか、熱や紫外線などにも強いことなどがコーティングの特徴です。シリコーンコーティングはボディの保護よりも、防水・撥水・潤滑に高い効果があります。

カーワックス

ボディの塗装膜表面に硬く薄い保護層を作るという点ではコーディングと同じですが、一般的にワックスの基本成分は天然素材のろう(蝋)です。天然カルナバろうの含有量が多いほど高級品となり、価格も高くなります。そのため代替品として石油ベースのろうを使った製品もあります。撥水性に優れ、光沢やツヤ出しに優れています。

シリコーンオイルは、油剤の表面張力を低下させる働きがあるので、ワックス成分と混合させた時に、表面の平滑性が向上します。そのため、伸ばしたワックスの表面が平らになりやすく、表面の微妙な凹凸が軽減されます。この効果で綺麗なツヤが出やすくなるのです。コーティングより安価で購入でき施工も簡単です。効果としては、ツヤ出し以外には、撥水効果が高くなるほか洗車キズやスクラッチ傷などの細かな傷が目立ちにくくなるなどがあげられます。一方で油であることから汚れが付着しやすいことがデメリットです。

まとめ

シリコーン撥水性が良く、車のコーティングとして活躍しています。コーティングとワックスは効果に大きな違いがありますがどちらも共通して撥水性とツヤ出しに優れていることがわかります。

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参考、引用文献:
『シリコーンとシリコーンの科学』B&Tブックス日刊工業新聞社
『シリコーン大全』日刊工業新聞社
『トコトンやさしい!シリコーンの本』日刊工業新聞社

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