シリコーンの驚くべき性質④電気絶縁性

公開日 2023.05.12
シリコーンの驚くべき性質④電気絶縁性

シリコーンは電気絶縁性に非常に優れています。絶縁とは、電気を通さない性質です。シリコーンは一般のオイル、プラスティック、ゴムに比べると電気を通しにくい性質を持っています。

そのため、シリコーンは電子製品や電気回路において、絶縁材料として広く使用されています。例えば、シリコーンを使用して回路基板をコーティングすることで、基板に浸透する水分や化学薬品から保護します。また、高電圧や高周波の電気回路においても、シリコーンは優れた絶縁材料として使用されています。

電気絶縁性に優れているのはシロキサン結合のおかげ

シロキサン結合とは、ケイ素(Si)と酸素(O)が交互に結合して構成された状態のことを指します。一般的な樹脂の結合である炭素結合より非常に結びつきの強い結合から作られています。そのため電気のエネルギーを与えられても破壊されにくく、さまざまな環境下においても安定した絶縁性を発揮できます。

また、一般の有機系ゴムはゴムの強度を上げるためにカーボンを使うのに対して、シリコーンゴムは絶縁性の高いシリカが多く用いられます。接着性を持つ液状シリコーンゴムは、電気・電子部品の接着やシールによく使われています。

絶縁性を活かした用途

新幹線のトランス絶縁油

新幹線などの車両を動かすためには架線に高圧の電流を流す必要がありますが、この電流は2万5000ボルトと超高圧です。そのためモーターを動かすのに適した電圧まで下げる必要があります。この電圧を変換するための装置がトランス(変圧器)であり、新幹線の車体に搭載されています。変圧器の中には鉄心からなるコイルがあり、そのコイルを通過することで電圧を降下させます。降下させる際には、大量の熱が発生します。その熱を下げるための冷却機能も変圧器には組みこまれています。

冷媒、絶縁のための材料として使用されるものが「トランス油」です。トランス油の特長としては以下のような点が挙げられます。

・電気絶縁性に優れている
・耐熱性に優れている
・難熱性である
・放熱性に優れている
・低温流動性が良い
・機器に使用される材料を腐食させない

新幹線は人を乗せる乗り物であることから、こうした安全性や耐久性に優れていることが重要になります。

電子基板のコーディング

様々な電子機器に使用されるプリント基板や各種実装部品は使用環境により浸水や結露などを起こすことがあります。これらが起因として、回路の短絡や断線、電流漏洩などの不具合を引き起こすことがあり、機器の動作不良や故障をもたらします。これらの物質や現象から回路を遮断・保護することによりトラブルを未然に防ぐことが可能となります。

シリコーンレジンは形を柔軟に変えることができるため、多種多様な製品に対応することができます。また、基板に浸透する水分化学や薬品からの保護、絶縁効果の向上、振動や衝撃からの保護などのメリットがあります。

まとめ

シリコーンは電気絶縁性に優れており、機器の故障を防ぐこと、装置の安全性を確保するために私たちの身の回りのさまざまな場所で使われています。シリコーンゴムは実に多くの場面でその特性を活かして活躍しています。静電気を帯びにくい帯電防止ゴム、電波や電磁波を通さない電磁波シールドゴムなどもその代表的な例に挙げられます。

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参考、引用文献:
『シリコーンとシリコーンの科学』B&Tブックス日刊工業新聞社
『シリコーン大全』日刊工業新聞社
『トコトンやさしい!シリコーンの本』日刊工業新聞社

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