医療、食品、化粧品、育児、建築、電子機器――すでに多岐にわたる分野で活用されているシリコーン。
しかしそのポテンシャルは、今もなお進化を続けています。
近年では、ウェアラブルデバイス、次世代エネルギー、航空宇宙、自動車の分野においても、シリコーンの高機能性が注目され、新しい製品の開発が進んでいます。
本コラムでは、シリコーンの“これからの可能性”について、最新の技術動向や開発事例を交えながらご紹介します。
1.シリコーンの持つ「未来対応型」特性とは?
1-1. 構造が変わっても特性がブレない安定性
シリコーンの最大の強みは、過酷な環境下でもその性能を維持できる点にあります。
極端な高温・低温、湿度変化、紫外線や化学薬品への曝露――これらに耐えることができる素材は多くありません。
それにもかかわらず、シリコーンはその柔軟性、絶縁性、耐久性を保ち続けます。
だからこそ、新しいテクノロジーが生まれるたびに、その“土台”としての素材に選ばれているのです。
1-2.進化する形態と機能性て特性が変わる性能
従来のオイル、ゴム、レジンといった形態に加え、現在では「シリコーンフォーム」「シリコーンゲル」「液状シリコーン(LSR)」など、より精密で制御しやすい形状が次々と開発されています。
これにより、製品の“素材”としてだけでなく、センサーや緩衝材、柔軟エレクトロニクスの「構成要素」としても応用範囲が広がっています。
2.期待される新分野での応用
2-1. ウェアラブル技術との融合
スマートウォッチや運動センサー、医療用モニタリングパッチなど、肌に直接触れるウェアラブル機器には、柔らかく、耐久性のある素材が不可欠です。
シリコーンは、肌との親和性が高いだけでなく、電子部品を保護する絶縁性にも優れており、薄型・軽量のデバイスに最適です。
さらに、柔軟な電極やバイオセンサーに用いられる導電性シリコーンの研究も進行中。
これにより「着るセンサー」「動きを感知する肌着」などの未来型製品が次々と実現しています。
2-2. 自動車・EV業界でのキーパーツにを維持
電気自動車(EV)や自動運転技術が進む中で、シリコーンはエンジン周辺部品やバッテリー保護材、コネクタの絶縁・シール材などとして欠かせない存在となっています。
特に、温度変化が激しい車載環境においても劣化せず、長期信頼性を保てることが評価されています。
また、騒音や振動を抑えるNVH対策(Noise, Vibration, Harshness)においても、シリコーンフォームなどの吸音・制振素材が活躍しています。
2-3. エネルギー・宇宙開発分野でも
再生可能エネルギー分野では、太陽光パネルの接着や絶縁用途として、シリコーンの耐候性が活かされています。
宇宙開発では、極限環境に対応するためのコーティング材やシール材としても使用され、NASAをはじめとした宇宙機関が採用している実績もあります。
3.日常を超えて、“社会”を支える素材へ
3-1. 医療から「ヘルステック」へ
医療機器からヘルスケア製品へとニーズが広がる中、シリコーンの役割も拡大しています。
たとえば、患者の体調変化を常時記録するシリコーン製パッチや、遠隔モニタリング用の装着型センサーなど。
これらの製品がもたらすのは、“予防医療”の実現です。
3-2. 建築×IoTの世界でも存在感
耐熱性・耐候性に優れたシリコーンは、建築分野でも構造接着材や防水シーラントとして長年使われてきました。
近年では、スマートハウス対応のセンサー素材や太陽光パネルの固定剤としても利用が拡大中。
住宅とITが融合する「スマートホーム時代」においても、シリコーンはその静かな力で社会を支えています。
4.シリコーンの“次のステージ”へ
今後注目されるのは、「環境適合型シリコーン」の開発です。
バイオ由来の原料を使ったグリーンシリコーンや、分解性を持つシリコーン材料など、持続可能な開発への流れが始まっています。
これにより、環境保護と高性能の両立が求められる新時代の製品設計にも、シリコーンは貢献していくでしょう。
まとめ
すでに「万能素材」として知られるシリコーンですが、その応用範囲はまだまだ広がり続けています。
今後は医療や生活用品だけでなく、自動車、エネルギー、宇宙産業といった先端領域でも、不可欠な存在となることでしょう。
素材そのものの性能に加えて、社会のニーズに柔軟に応えられる「進化する素材」として――シリコーンの未来に、ぜひ注目してみてください。
シリコーン製品の詳細や購入については、シリコーンテクノにお気軽にお問い合わせください。